ハンバーガー屋の経営ブログ

ハンバーガー屋さんを開業するまでの計画&オープン後の日常を綴っていきます

飲食店開業直後にコロナウイルスの感染拡大という不運な飲食店

開業後すぐにコロナ禍を迎えた飲食店

f:id:hamburger-ojisan:20210305052825j:plain

KAKUMEI味噌麹バーガー


緊急事態宣言はまた延長となりましたが、やっとワクチン接種の目途も立ち始め、少しづつアフターコロナの世界が見えてきた印象です。

今回は、OPENして3ヶ月目というタイミングに、コロナウイルスの感染拡大が始まったという不運な飲食店について、ネガティブな面もポジティブな面もリアルな一年を記載していきます。

大変な飲食店が多い中、OPEN間もない当店が生き延びられているのは、単純にコロナ禍と当店の相性が良かった(マシだった)ということは大きな要因でした。

そう思える理由を何点かピックアップしていきます。

WEBマーケティングという強みの最大化

WEBマーケティング事業を行う当社の強みが活かされた時期でした。

特にコロナウイルスの感染拡大が話題になった当初は、コロナ前までテイクアウトやデリバリーがライフスタイルになかった人にとって、「どのようなお店でテイクアウトをしようか」と検索機会の多い時期だったと思います。

もし、多くの人が馴染みのお店に通うことに満足して新しいお店を探そうとしなければ、どんなにWEBマーケティングを頑張っても効果は薄いです。

実際に、昨年3月頃にはまだ他の飲食店がテイクアウト対応を始めていなかったこともあり、「テイクアウトをできるお店を探してKAKUMEIバーガーを知りました」という方も多くいらっしゃいましたし、アクセス数という目に見える形でも確認することが出来ました。

 

ランチ営業に強み

23:00迄の営業時間を時間短縮により早めに閉めることになってしまったり、夜に出歩く人が減ったりと当然大きなダメージはあります。

しかし、夜からお店を開く居酒屋やバーなどに比べれば、ランチ集客が多いと言われるハンバーガー屋という業態は、まだマシな方でしょう。

子供連れのお母さん方や、近所の方の憩いの場というコンセプトでもあったので、ランチタイムから15:00くらいまでの遅いランチでも需要があり、多くのお客さんに来店してもらえました。

 

デリバリー・テイクアウト

ハンバーガー=テイクアウト」というイメージを持ってくれている人も多く、抵抗なくテイクアウトしてくれるお客さんは多いです。

デリバリーに関してもUberEatsやmenuなどのアプリのCMでも取り上げられることが多いように、ハンバーガー需要は低くないように感じます。

他メディアで寄稿していますが、マクドナルドのような巨大チェーンもコロナ禍で売り上げを上げていますし

at-dx.net

また、居酒屋業態である鳥貴族を運営する鳥貴族ホールディングスはハンバーガー業態に進出するとのニュースも話題になっています。

新型コロナウイルスの感染拡大で主力の居酒屋業態が苦戦する中、持ち帰りや宅配に強いバーガー業態を「第2の柱」に育て、ウィズコロナ時代に適応する。

このように「ハンバーガー=テイクアウト」というイメージはとても強いようです。

 

UberEatsを始めるタイミング

OPENして1か月目の段階でUberEatsへの出店を進めていたことはラッキーでした。

コロナが流行し始めた時は、UberEatsに出店したがっている近くのお店からは2か月待ちと言われている」などという話もよく聞きました。

12月1日にOPENして12月25日からUberEatsでの販売を開始していたので、コロナによる来店数の激減を実感する2月後半までにはある程度のノウハウと販売実績が作れたので、必要な対応を急いで取り組めたし、まだ競合となる出店舗数が少ない中でUberEats内での認知も伸ばせましたそのおかげでUberEats内では近隣の店舗の中でも有数のお店だったらしいです。

 

立地

蒲田という居住者が多いエリアということもあり、観光地のような外から人が集まるエリアに比べてダメージは少なかったと考えられています。

有名なハンバーガー屋でも観光地ではやはり営業が厳しくなったという話を聞くように、当店のような地域密着型の飲食店のほうがダメージは少ないでしょう。

正確なデータは分からないが、休日に都内に遊びに行く層が地元の飲食店を活用することが増えたということもあるそうなので、立地という観点だけで見れば、むしろプラスに働いたという可能性もあるのではないかと・・。

 

家賃が安い

どんなにハンバーガー屋が、ランチに集客力があったり、テイクアウトやデリバリーとの相性が良いと言っても、都内の一等地でOPENしていたら今頃お店を閉めていたかもしれない。

蒲田の外れに位置する、古い物件だからこそ賃料という固定費を抑えられているので、コロナで今後どうなるか先行きの見えない時期でも「飲食店の営業が禁止されるようなことがあっても何とか他で賃料くらい稼げばいい!」というスタンスで、心に余裕を持って営業することが出来ました。

もともと、蒲田の外れでグルメバーガー屋を始めてもうまくいかないと多くの人に言われていたので、IT事業での収益で問題なく固定費を賄える立地を選んでいたことが、結果的にコロナ禍での余裕に繋がりました。 

 

協力金

当店は商店街起業・承継支援事業にてOPEN前から家賃に関する補助金を採択されていたので、コロナに関する家賃補助は受けていないが、協力金は非常に助かっています

協力金や家賃補助など、世間でも飲食店だけ待遇がよいのはおかしいという声が上がっているが、これは実際にそうだと思います。

当社はIT事業も行っているが、ダメージが小さいと言われているIT業界の中でも当社の取り組みはコロナの影響を大きく受ける分野だったので、協力金に関しては感謝もしているし、不満を言う人の気持ちが分からないわけでもない。

あえて、このブログで取り上げるべきではないとも思いましたが、実際に協力金によって助かっている1事業者としてのリアルな意見として記載しておきたいと思いました。

 

その他

その他にも開業から1年間で6番組で当店をご紹介頂きましたが、コロナ禍ということで夕方のニュース番組などは史上最高の視聴率を叩き出していたそうです。

コロナで遠出が難しい為、来店数という観点ではマイナスかもしれませんが、多くの人に知っていただくという意味では視聴率の良い時期にご紹介頂けたことはありがたいことかもしれません。

 

とは言え・・コロナでネガティブな面も多いです

そんなコロナ禍と相性の良い(マシ)なハンバーガーという業態であり、立地であり、店舗ですが、やはりコロナの影響はもちろんあります。

そりゃあ、WEBマーケや、ランチ営業、テイクアウト、デリバリーなどがコロナ禍で相性が良いと言っても、それ以前に営業実績があり、WEBマーケの整備も出来ていて、既に常連さんもいて…というように地盤が出来ていた方が良いに越したことはありません。

 

正直なところ、今でこそこんなポジティブに捉えたブログを書いていますが、1年で3割、2年で5割、3年で7割、10年で9割が潰れると言われる飲食店です。

 

そんな飲食店をOPENして3ヶ月目のタイミングでの100年に一度と言われるパンデミック・・。

 

夢だった飲食店OPENということで、開業直後の飲食店オーナーさんはワクワクな時期です。

コロナ前は色々と計画がありましたが、コロナの感染拡大は止まってくれません・・。それどころか、飲食店は悪者のように扱いを受ける日々・・。

1年前の今頃は、開業資金を予定以上に使ってしまい手持ち資金も微々たるもので、今後どうなってもおかしくないという状況でした。

当時は、協力金のこともまだ明確には分からず、持続化給付金も前年の実績がなければ申請できないのではと言われていたりと、毎日のように改正されるややこしい資料を読み込む毎日・・。時間があれば検索したり、TwitterYouTubeで情報を追っていました。

 

出店計画が遅延問題

コロナがなかった世界線でも1店舗目がうまくいっていることが前提ですが、当初の事業計画では今頃2~3店舗目を出店しているイメージでした。

有難いことに一緒にやりたいと言ってくれる企業の方々も多く、実現は難しくない状況でしたが残念ながらどれも一旦ストップしています。

単純にコロナの影響で見通しがつかず、出店が難しくなったこともありますし、協業する予定だった企業の財政状況も影響しています。

そして何より、当初やりたかったことが、コロナ後の世の中で通用するものなのかという観点で再構築する必要があります。

ここに関しては本当に悔しいですが、まあ仕方なしです。

代わりに…「飲食店×テクノロジー」をテーマに様々な分野で活動し、今後に向けて種を蒔けた時期でもありました。

 

通常期の売上が分からない問題

飲食店はOPENから半年間は認知やクチコミが広まるまでの期間ということで、売上が伸び続けると言われている。

オープン景気という言葉があるように、戦略によって全ての飲食店が当てはまるわけではありませんが、当店の場合は12月にOPENして翌年1月、2月と売り上げは伸びていた。

僕としても半年後に理想としていた数字に落ち着けば良いという思考で戦略を立てていた・・。

しかし、2月にコロナの感染拡大が広まり、そのまま今日を迎えているわけです・・。

つまり、当店はオープンしてから「安定期」と呼ばれる期間に入る前に「コロナ禍」を迎えているので、「通常期の売上」というものを知らないままでいるのです。

例年の売上とコロナ禍での売上を比較できないので、コロナ後に売上が落ちるのか上がるのか・・コロナが落ち着いた後の予測というのも非常に難しい。

デリバリーやテイクアウトと相性の良いハンバーガー屋だからこそ売上が立っているとも考えられるし、コロナ禍で外出を避ける人が多いので、地元民を主要顧客に考えているお店が人気とも受け取れる。

もちろん、アフターコロナの世界はコロナ前とは別世界になるだろうと考えられるので、単純な比較は出来ないがそれでも比較対象がないというのはとても不安に感じています。

 

営業実績がない問題

コロナ禍で経営が厳しくなった企業を始めとして、大きなダメージではなくても多くの企業が融資の借換えを行っています。

新型コロナウイルスの影響による売上減少に加え、既存の借入にかかる返済が重荷となっている事業者の方の負担を軽減するため、これまで低減利率(基準-0.9%)の対象外であった既存融資の借換部分についても、今後は、いわゆる「実質無利子化」の対象となります。

コロナ禍の企業をサポートするということもあり、日本政策金融公庫も利子率の低い良い条件や実質無利子化での融資を積極的に行っているようです。

融資を受けなくてはまずい・・という状況ではなくても、申請をするためのコロナの影響は該当していたし、条件が良い借換えを申請していたが、「営業実績が少ないので無担保無保証人の条件では難しい」と言われてしまいました。

シンプルに勿体ないという印象を受けてますが、まあ仕方なし。

 

ポジティブに考えるコロナ禍

まぁ、そんな不安や不満を言っていても仕方がないのでポジティブに考えています。

上記のように「まだマシな方だ」という考え方も出来ますし、結果上手くいっているので、OPEN直後にコロナというのも悪いことばかりではありません。

 OPENしてお店が出来上がっていない段階でコロナを迎えたからこそ、それまでの自分たちの在り方に捉われずにスピード感を持って移行できたのではないかと思っています。

お金もないし、実績もない飲食店だからこそ「なりふり構わずやれることやっていこう!」と、吹っ切れたかなと思います。

バタバタしても仕方ないので、やるべきことを迅速に行おうとフラットな気持ちで考えられました。

 

何をしていたかなとざっと振り返ってみましたが…

①これから検索機会が増えるだろうから後回しにしていたWEBマーケを本気出す!(2020年2月)

②問い合わせで開始時期が遅れることのないように早めに「出前館」や「menu」などテイクアウト&デリバリーアプリに登録しまくろう!

③1年くらいは僕自身もお店に立っていたいと考えていたけど、飲食店の営業自体続けられるか分からないから、その時の為に自分はIT事業にコミット!どうせやるならコロナ禍で急激に需要が高まりそうなAIという未知の分野に挑戦しよう!(2020年3月)

④コロナ禍に対応したお店の内装・オペレーションを作り直すために1か月間、休業して、持続化給付金受給。(2020年11月)

といった感じでした。(ほとんど忘れてる)

 

コロナが広がってからあっという間に1年経ちますが、当時の決断は自分にとっても会社にとっても大きな期待を持てるものになっています。

多分、コロナが無ければ、自分なりの表面的な拘りみたいなところにマインドを向け過ぎて、大事なことを後回しにして、のんびりやってたんだろうなと。

それも自分のお店を持つ楽しみで悪いことではないけど、理想を語るなら現実に則した数字を積み上げることは大前提だと改めて認識し、ちゃんと効果を意識してやろうという方向に全集中出来ました。

 

まとめ

ありきたりですが、「ピンチはチャンス」というやつで、やはり見えている人たちはコロナをチャンスと捉えて積極的に動いていることを実感する日々です。

弊社は「これは大きく時代が変わるチャンスだ!」とポジティブに動き出せ程の余裕はないですが・・・こんな時期だからこそ冷静に状況を理解し、虎視眈々と次の一手を見つめ、長期的観点でも飛躍に繋がるような選択をしていきたいと思っています。

どうか、少しでも多くの飲食店様が困難を乗り越えられますように。

 

お題「#この1年の変化