ハンバーガー屋の経営ブログ

ハンバーガー屋さんを開業するまでの計画&オープン後の日常を綴っていきます

飲食店物件探しの面白さと難しさ

飲食店物件探しの面白さと難しさ

物件探しの面白さと難しさ

今回は、先週の内見について書いていきます。

 

蒲田で一番の商店街にある雑居ビルの2階で、駅からも4分という好立地にあるスナックの居抜き物件なのですが…

フィリピンパブやスナック、大人のバーが立ち並ぶ、薄暗い飲食フロアで明らかにグルメバーガー屋さんが出店するような物件ではありません…

 

けど、一周回って面白いなと!笑

 

僕の悪い癖なんで突っ走らないように心を落ち着かせておりますが、どう考えても面白いよなあ。

 

東京で住みたくない街No1にもよく選ばれる蒲田ということで、そういうお店はたくさんあります。(月曜から夜更かしなどでもよく紹介されていますね…)

 

最近は京急蒲田駅を中心に開発が進められているので奇麗なマンションがすごい勢いで建設され、富裕層の方々も増えてきているので京急蒲田周辺にはお洒落なお店もでき始めていますが、JR蒲田駅側は昔ながらの赤提灯の飲み屋やスナック・パブが多く立ち並びます。

 

僕はそういう蒲田が好きなんだよなあという想いと、現実的に狙っている客層が入りやすい立地という狭間でもやもやしております。

 

今の飲食店はコンセプトが明確で美味しさはもちろんサービス含めお店の質が高ければ口コミやネット経由で来店していただけると言われています。

 

そういう意味では、お店を決めるときの立地の重要性は数十年前に比べれば落ちているとは言え、無視はできません。

 

その物件に関しては、駅から少し遠い、大通りから一本外れる…などではなく、パブやスナックが立ち並ぶ雑居ビル独特の空気間、店内が見えない重たいドア…若者や子供連れのお母さんなんかは入り辛いだろうなあと。

 

勿論、心理的な障壁を下げるための努力は出来ますし、WEBマーケティングを主戦場にしているので方法論としては自信はあります。

 

多分、WEBマーケの経験があるからこそ、あの店舗を面白い、逆転の発想で話題にしやすいという考えに繋がった部分もあるかもしれません。

 

それでも、建物が持つ独特の雰囲気というものは人の心に大きな影響を与えてしまうと思います。

 

僕らは面白いことをしたいけど、決してそれによって一定の層を遠退けたいとは考えていません。

 

最高の立地と、通行料、周辺施設、予算範囲内の賃料、理想の面積、しかし目に見えない独特の空気間。

 

そもそも、明らかに浮いた業態、同フロアの飲食店と異なった客層を狙うので、迷惑にならないかも心配していたのですが、立ち合いの際、ビルの管理人のマダムは『若者の発想で面白いことをしてほしい』と何度も仰ってくれました。

 

いや、まじでそうだよなあ。

 

そういうことがしたい。

 

僕はお店を出したいのではなくて、ハンバーガー屋を続けたいのではなくて、ちゃんと面白いと胸が張れることをして、きちんと成功したい。

 

それが誰かの1日を少しでも幸せなものにしたり、良い思い出の1ページになってくれたら最高で、そのために妥協ない日々を過ごしたい。

 

ちゃんと勝ち切れるふざけ方というか、型にはまらなくてもそれでも目標を達成できるようになりたくて、この10年間、海外で修業したり、現地で出店したり、飲食とは直接繋がらなそうなWEB業界で働いて、出世しまくって、ハンバーガー屋が軌道に乗らなくてもお店を続けられるくらいのスキル(価値)を付けて今はフリーランスでやれている。

 

正直、自信はある。これまでも過酷な状況下で毎回大成功といかなくても負け越しさないでこれたのは、その都度、冷静に解決策を探って、覚悟をもって決断し、愚直に行動に移せば道は開けた。(ほとんどは多くの人のお力添えあってこその結果だったけど)

 

でも、自分なりに積み上げたものがあるからこそ、1店舗目は少しでも不安要素の少ない形で成功しにいきたいと思ってしまうのも事実。

 

なにより、失敗すると思ってお店を始める人はいない。プランの精度やリスクヘッジに差はあれど成功への自信は皆それなりに持って開業しても消えていく厳しい世界。

 

この自信は過信になっていないか、読み切れていない数字はないか、数字で表れないところの価値に向き合えているか。

 

このビジネスには価値があると言い切れる自信は必須だとして、自分の思う「面白い」が「一人のお客様×市場」にどれだけ受け入れてもらえるかという不安。

 

という感じの日々ですが、もやもやをテキストに起していたら長くなってしまいました。笑

 

先週は、その他に10件くらい場所と外観を確認しに行きまして、そのうちの何件かは今日と来週で内見行きます。

 

和のテイストを強くしたいということもあって、もともとメインで考えていた元蕎麦屋や寿司屋の居抜きなんかを中心に見ています。(さんざんスナックの居抜きについて書きましたが…笑)

 

僕は蒲田で長い時間を過ごしてきたし、勝算の高いエリアだとも考えていますが、エリアを駅まで絞ってしまうと物件探しはどんどん難しくなっていきますね…。

 でも、こうやって今までなかった視点でお店のことを考えることが出来るのはとても面白くも感じます。

______________

【試食会の告知です】

 

①3月26日(火)19:00〜
@横浜B.B STREET(ライブハウス)
神奈川県横浜市中区真砂町3-33 CERTE(セルテ)ビル 12F

JR京浜東北線関内駅北口改札でて、すぐ右手にあるセルテビルの12階です。

BAR営業のような感じで古着屋さんが出店したり、僕らもハンバーガー作らせていただく予定です。

 

②3月31日(日)19:00〜21:00
@ ICON (@and_y.k )参加費:1000円

住所:東京都 渋谷区 代々木 2丁目30-4 ヨシダペアランドB棟101

交通手段:南新宿駅徒歩1分/新宿駅徒歩6〜10分/代々木駅徒歩5分
ICONさんのお店をお借りして試食会をやらせていただけることになりました。
たくさんのハンバーガー好きさんと交流ができるといいなと思っています。


どちらの試食会も数に限りがございますので、参加される場合InstagramのDMからご連絡いただけると幸いです。

 

www.instagram.com


是非よろしくお願い致します!

今日からハンバーガーチューズデイ

今年初ハンバーガーブログ…明けましておめでとうございます!

クラップハンズ

 

明けましておめでとうございます!

 

昨年末の振り返り以来、ブログの更新を止めてしまっていましたが開店に向けて何もしていなかったわけではありません。

毎週新しいメニューを作っては美味しすぎて悶絶したり、事業計画書のブラシュアップをしていました。

 

ただ、お互いに仕事終わりに時間を作っていたので二人とも疲れ果てている中で行うような日々でした…。

 

気合いで頑張ることも大事だけど、仕組みから変えていかない正しい判断や余裕があるからこその視点というのは気付きにくいなと思います。

 

ということで、今週からは、「ハンバーガーチューズデイ」として毎週火曜日の仕事をOFFに切り替えて一日をしっかりハンバーガー屋の準備に充てれるようになりました。(他の日も稼働時間を減らしています)

もう少し早くこのスタイルに切り替えたかったのですが、WEB事業のほうで受けてる仕事を整理したり、仕事のボリューム調整に時間がかかり3月から…ということになりました。

もちろん、収入は減りますけど「少しでも稼がなければ!」という状況ではないので(お金はあるに越したことはないけど)、WEBの仕事をいっぱいいっぱいで受けながらハンバーガー屋の準備を進めるよりも週に一度くらいは腰を据えてしっかり集中することも大事かなと。

 

ハンバーガー屋開業後もWEBの仕事は継続していくので、フリーランスでの仕事調整に関して今回は多くを学べました。

 

今日からハンバーガーチューズデイです

そんなこんなで、やっと3月になり今日が初の「ハンバーガーチューズデイ」です。

 

昼飯は、先日閉店してしまった三軒茶屋クラップハンズのオーナーの藤田さんが居酒屋さんで昼にハンバーガーを出しているという情報を知人から聞いて早速行ってきました。(我が家から徒歩5分でした!笑)

パートナーの北見がバーガーサミットでクラップハンズハンバーガーを食べて美味しかったと言っていたので食べてみたいと思っていたので閉店を残念に思っていたのですが…まさか近所で食べれるようになるとは!

直接お話しさせていただいたことがあるわけではないですし、OPENしたてということで普通にお客さんとして食べに行っただけでしたが、ご存知頂いていたようで「ハンバーガーおじさんの二人ですか」と声をかけていただきご挨拶させていただきました。

 

最近、このパターンも増えてきたのでインスタのプロフィール写真をもうちょいマシなものに変えなきゃなと…。

 

蒲田で唯一のグルメバーガーを食べれるお店ということで頻繁に行かせてもうことになるかと思います!

 

そして、今は蒲田の行きつけのカフェで物件の整理や事業計画書のブラシュアップを進めております。(久しぶりのブログ更新も!)

 

夜はiconのゆうたくんと新宿で打ち合わせ予定。

今回も面白そうな話を聞けそうなのでワクワクしております!

 

こうやって丸一日、ハンバーガーにしっかりリソースを割けると、他店のハンバーガーを食べて、事務作業を進めて、自分らでも新メニューを開発して、人にも会えてと色々捗りますね!

 

その前に僕は確定申告を早く済ませなければで相変わらずバタバタしております…。

【2018年】開業に向けての一年間を振り返る

開業に向けての一年間を振り返る

 

開業に向けての一年間を振り返る

 

皆様こんばんは。

 

すっかり寒くなってきましたが如何お過ごしでしょうか?

 

先日ブログで紹介させていただいたライブでのハンバーガーの提供は大盛況に終わり、無事に完売することが出来ました。

 

今回は年末ということもあり、開業に向けて生活してきた2018年のことを思い返してみたいと思います。

 

まだ、これまでブログでしっかりと書いてきていなかった部分ですが、僕は一緒にハンバーガー屋を開業予定の北見君と昨年の9月から蒲田に住んでいます。

 

なので、その二人の2018年の生活…ということになります。

 

北見君は飲食店での経験がほとんどないということで、某ハンバーガー屋さんでの修行の一年間でした。

 

僕はWEB制作の会社を辞めて春過ぎに独立し変わらずWEB関係の仕事をしています。

 

1月~4月

 

春過ぎまではバイトが大変そうで疲れ切っている様子でしたが、まあこれも生みの苦しみのようなもので、そこに現実があるのならば頑張るしかない…というくらいに一歩引いたところで見ていましたが、今の彼を見ていると「何かを乗り越えていく、何かが出来るようになっていく過程を踏んでいく」という意味で無駄ではない期間だったと思います。

 

僕はWEBの会社で働きながら「もうここではこれ以上伸ばしていくのは難しいかな…」と感じながら週に2~3日くらい気が向いた時間に出勤して帰りたいときは帰るというような怠惰な生活を過ごしておりました。

 

会社でのポジションを利用して自由に生活している期間は「モチベーションも上がらずに成長を感じられない日々への不安と焦り」と「正社員という安定した雇用の上で自由に働き周りの倍以上は稼げる不満のない生活」の狭間で悶々としておりました。

 

今思うと、余裕のある生活の中でアンテナを伸ばして色々な勉強をしたり、人から話を聞いていたことはちゃんと活きているなあとも思います。

 

5月~8月

 

北見君もバイトに慣れ出して少しは気持ちに余裕が出始めるも貯金のためにバイトに勤しむ日々。

 

僕は会社を辞めてフリーランスで働き始めました。まあ、フリーランスといっても契約している企業の会社に出勤して働いているので、ある意味これまでよりもサラリーマンぽい生活です。

 

これまでマネジメントする立場でありプロジェクト全体を管理する側でしたが、肩書や役職のないフリーランスになって「一人のプレイヤー」として働くことは、プレイヤー経験が乏しかった僕にとってはとても刺激的で成長を感じれる毎日が始まりました。

 

そして、この時期から試食会を始めました。

 

当初は月一回でしたが、二回ほど開催して手応えを感じてからは月二回のペースで今も開催しています。

 

試食会を開催しようと決めた理由としては、下記の四点であると以前のブログで書きました。

 

ハンバーガーを作る機会を増やす

②他人に食べてもらう感覚に慣れる

③フィードバックを貰う

④多くの人に自分のやりたいことを知ってもらう

 

実はもう一つ・・・

 

⑤北見君に自信を持たせる

 

という裏目的(というか真の目的)がありました。

 

「料理が出来ないから不安」ではなく「自分もこんなに出来るんだ」という自信が、もっとこう出来ないかなという成長を生み、ハンバーガー屋での修行の価値も上がっていく。

 

この頃から彼からの意見の発信も増えてきて、やっとここから少しづつ動き始められるかなと感じ始めた時期でした。

 

9月~12月

 さて、ここ最近の話ですね。

 

もう一歩先に進みたいと、今日はハンバーガーの具材を使った鍋など新しいことにも挑戦し始めています。

 

試食会では様々な新メニューを提供したり、アンケートをデータ管理するようにしたり、先月からは店名のロゴやデザインガイドラインの作成を進め始めたり、お皿や見せ方も考えたりと少しづつブラッシュアップしているなあとは思いますが、まだまだ明確になっていないと感じることも多々あります。

 

年末にはこの「明確」と言い切れない部分を事業計画書に落とし込み、ブラッシュアップを進めて、年が明けたら物件探しも始まり、具体的なメニューの選定や資金調達など始まります。

 

もっと焦らなければいけないように感じながらも、具体的に実現可能なことと捨てるところを切り分けて着実に進めていく作業は自分がこれまで仕事で武器にしてきた得意分野なので信じていいかなという感覚もあります。

 

2019年に向けて

 

2018年は僕も北見君もしっかりと成長できた一年間だったと思います。

 

もっとやれたんじゃないか、もっと考えられることはあったんじゃないかという思いもありますが、まずは無事に一年間を過ごせたことは皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。

 

来年は皆様に応援してもらえている恩や期待にしっかり応えられる一年間にするため誠心誠意努力する所存ですので、より一層のご支援のほどよろしくお願いいたします。

 

来年に向けて、焦ることも楽観視することもなくフラットな気持ちで現実に向き合い、決断の精度を研ぎ澄ませていければなと思います。

クリスマスイヴに横浜のライブハウスでハンバーガーを提供します

こんばんは!

 

クリスマスイヴに北見君(ハンバーガー屋のパートナー)のバンドの主催するライヴでクリスマス限定バーガーを提供させていただくことになりました。

 

クリスマス限定グリルチキンバーガー

 

僕は演者ではなくハンバーガーを焼き続ける係です。

 

ライブハウスでハンバーガーを作るのは6年ぶりです。

 

カナダに住んでいた頃はよく、ライブハウスやクラブのイベントに誘われてベンダーとして出店していましたが日本だとカルチャー的にもあまりそういう機会に巡り合えなかったので…。

 

音楽×ハンバーガーという組み合わせは相性がいいと思うし、イベントで提供するというのは片手で食べれるハンバーガーの魅力だと思うんですよね。

 

今回のイベントをきっかけにチャンスがあればいろいろなイベントでハンバーガーを提供出来たら面白いなあと思っています。

 

バーガーマニアの守口さんのInstagramを見ていると、自分もいつかハンバーガーと一緒に日本各地に行けたらいいなあなんてワクワクします。

 

特に、フェスで食べるご飯って記憶に残りますしね!!

 

さて、そんな「音楽×ハンバーガー」のライブ情報は下記になります。

 

時間:12月24日19時開演 22時まで

場所:横浜BBストリート(関内駅)

入場:2000円(当日2500円)

ハンバーガー:800円

URL:http://www.bbstreet.com/access.html

 

普段の試食会も初対面の方も大歓迎なのですが、場所が我が家のバルコニーということもあって友人のツテなどないと初対面の人はなかなか来づらいかなとも思いますので、クリスマスイヴに暇している方はこの機会に是非遊びに来てください。

 

これがフライヤーらしいんですけど…

 

クリスマスイヴのフライヤー

 

来づらいですよねえw

 

ハードロックが好きな人は楽しめるイベントかと思います。笑

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

今回は世界で一番美味しいと思ったハンバーガー屋についての記事を書きますが、ちょっと幻想的な話で、先に断っておくとお店の名前や住所などを詳しく書くことはできません。

 

まず初めに、僕はこの10年ほどで東京で有名なお店のハンバーガーはほとんど食べてきたし、海外で人気のお店も旅行や出張の旅にチェックして食べてきました。

 

特に、ワーキングホリデービザでカナダに住んでいた時、現地のメディアで紹介されていたトロントの人気ハンバーガーショップ100選を食べ歩くなど、それなりに多くのお店で美味しいハンバーガーを食べてきたつもりです。

 

そして、日本で有名店と言われているグルメバーガーのお店は世界的に見てもとても質の高いものだと思っています。

 

(それは今後このブログでも執筆予定ですがハンバーガー自体の立ち位置だったり、食文化の影響も大きいと思います。)

 

しかし、今回題材に上げた「世界一美味しいハンバーガー」は、どのお店のどのハンバーガーとも比較できないほど圧倒的にインパクトの強いお店でした…。

 

極寒のトロントの夜中(マイナス20℃)

もう6年ほど前のことですが、僕は「ハンバーガー修業」と称してトロントで一年間生活をしていました。

 

前述のように有名なハンバーガー屋を食べ歩いたり、自分自身でも各店舗で得たインスピレーションをそのままにハンバーガーを作って販売をして過ごしていました。

 

そんなトロントでの冬の夜中のことです。いつものように友人たちとクラブだったか、何かのイベントに参加していたのかうろ覚えですが、雪の舞い散るマイナス20℃のトロントシティの寒空の下を歩いていました。

 

お腹が空いていただけなのか、まだ解散したくなかったのかも覚えていませんが、友人数人と明かりのついているバーのような雰囲気のレストランに入りました。

 

外観はとてもハンバーガー屋という雰囲気ではなかったけど、そこはカナダです。大抵のレストランのメニューにハンバーガーはあり、それなりに美味しいです。

 

僕は迷わずハンバーガーを注文し、友人たちもハンバーガーを注文したのを覚えています。(そのころ、僕の影響でみんなでハンバーを食べ歩いていたので)

 

そこで食べたハンバーガーこそ、僕が忘れられない「世界一美味しいハンバーガー」でした。

 

正直に白状すると当時の僕は酔っ払っていたか、アレだったか…なんなら寒さで感覚が狂っていた可能性もあります。

 

ここまで読んでくださっている方からすれば「お前の記憶曖昧過ぎだろ!」と突っ込みたくもなると思いますが、それでも美味しすぎて感動したのを明確に覚えています。

 

お肉のボリュームは100g-110gくらいで、野菜も少なく全体的にとても薄く、高さのないハンバーガーでした。しかし、上品な肉のうまみとコクが美しい奥行きを与える質の高いものでした。

 

店内もカウンター席がメインの薄暗いバーのようなお店でしたけど、歴史のあるレストランのような印象を受けました。とても幻想的で、酔っ払っていなければ緊張してしまうような雰囲気のお店だったようにも感じます。

 

僕にとってのハンバーガーに対する可能性が広がりワクワクした気持ち、そして「世界一美味しいハンバーガー」に対する純粋な感動を抱きながらマイナス20℃の雪空の下を歩いたことを覚えたいます。

 

しかし、それ以降僕たちはそのお店を再び訪れることはありませんでした。

 

理由は、単純でみんなで探し回っても見つけることが出来なかったのです。

 

僕もトロントに住んで一年が経とうとしていた時期なので街のことはある程度分かっていたし、友人の中にはトロントで生まれ育ったカナディアンもいました。

 

僕は酔っ払っていたかもしれませんが、友人たちの中には酔っ払っていなかった人もいたはずです。

 

それでも、何時間歩き回ろうともそれらしきお店が見つからず、なんならレストランやバーすら見つかりませんでした。

 

あれは幻だったのかもしれない…と本気で思いながらもiPhone4sに残るハンバーガーの写真と確かな感動。

 

ハンバーガーマニアのカナディアンたちに見せても結局、 分からず終い でした。

 

少したどり着けた気がする幻の味

 

勿論、あらゆる物への評価というのは単純な比較では図れないと考えます。

 

特に時間の経った記憶なんて、思い出補正が入りまくりです。

 

食に限らず、音楽だって小説だってなんだってそう。その頃の自分の心理状況や感性に大きく左右されるものだと思います。

 

僕にとっての「世界一美味しいハンバーガー」もそういう要素は多かれ少なかれあるでしょう。

 

今年の初夏のことですが、ハンバーガーの試作品を作っている中で少し近づけました。

 

理想通りのクリームチーズのコクと、馬場フラットから取り寄せた甘味のあるバンズ、質の高い国産牛の粗挽き。とても良い組み合わせで、少しだけ感動をして、とても興奮しました。

 

市場の求めているものと僕の中で生き続ける感動がイコールなわけではないので、それに近づけられればOKということでもないですが、自分の求めていたものを世に出してみたい…という思いはあります。

 

ハンバーガー屋をOPENしても、死ぬまでにも、あれと同じものを作れるかはわかりません。

 

いや、同じものだったり、それを超えるものを作りたいという感情ではないのかもしれない。

 

ただ、あの時出会った「世界一美味しいハンバーガー」が、凄い良かったなあと。

 

優しくて、上品で、美しく広がる奥行き…僕がお店を通して表現したいメッセージを表した味にも感じるので、看板メニューになってくれたら嬉しいですけど、そこはシンプルに需要次第で、人気にはならなくていいと思います。

 

もしかしたら、メニューの片隅で滅多に注文されないハンバーガーになってしまうかもしれない.

 

けど、僕だけは寒くなってきたら、あの時食べた感動を思い出してワクワクしたいと思っています。