ハンバーガー屋の経営ブログ

ハンバーガー屋さんを開業するまでの計画&オープン後の日常を綴っていきます

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

僕の食べた世界で一番おいしいハンバーガーについて

今回は世界で一番美味しいと思ったハンバーガー屋についての記事を書きますが、ちょっと幻想的な話で、先に断っておくとお店の名前や住所などを詳しく書くことはできません。

 

まず初めに、僕はこの10年ほどで東京で有名なお店のハンバーガーはほとんど食べてきたし、海外で人気のお店も旅行や出張の旅にチェックして食べてきました。

 

特に、ワーキングホリデービザでカナダに住んでいた時、現地のメディアで紹介されていたトロントの人気ハンバーガーショップ100選を食べ歩くなど、それなりに多くのお店で美味しいハンバーガーを食べてきたつもりです。

 

そして、日本で有名店と言われているグルメバーガーのお店は世界的に見てもとても質の高いものだと思っています。

 

(それは今後このブログでも執筆予定ですがハンバーガー自体の立ち位置だったり、食文化の影響も大きいと思います。)

 

しかし、今回題材に上げた「世界一美味しいハンバーガー」は、どのお店のどのハンバーガーとも比較できないほど圧倒的にインパクトの強いお店でした…。

 

極寒のトロントの夜中(マイナス20℃)

もう6年ほど前のことですが、僕は「ハンバーガー修業」と称してトロントで一年間生活をしていました。

 

前述のように有名なハンバーガー屋を食べ歩いたり、自分自身でも各店舗で得たインスピレーションをそのままにハンバーガーを作って販売をして過ごしていました。

 

そんなトロントでの冬の夜中のことです。いつものように友人たちとクラブだったか、何かのイベントに参加していたのかうろ覚えですが、雪の舞い散るマイナス20℃のトロントシティの寒空の下を歩いていました。

 

お腹が空いていただけなのか、まだ解散したくなかったのかも覚えていませんが、友人数人と明かりのついているバーのような雰囲気のレストランに入りました。

 

外観はとてもハンバーガー屋という雰囲気ではなかったけど、そこはカナダです。大抵のレストランのメニューにハンバーガーはあり、それなりに美味しいです。

 

僕は迷わずハンバーガーを注文し、友人たちもハンバーガーを注文したのを覚えています。(そのころ、僕の影響でみんなでハンバーを食べ歩いていたので)

 

そこで食べたハンバーガーこそ、僕が忘れられない「世界一美味しいハンバーガー」でした。

 

正直に白状すると当時の僕は酔っ払っていたか、アレだったか…なんなら寒さで感覚が狂っていた可能性もあります。

 

ここまで読んでくださっている方からすれば「お前の記憶曖昧過ぎだろ!」と突っ込みたくもなると思いますが、それでも美味しすぎて感動したのを明確に覚えています。

 

お肉のボリュームは100g-110gくらいで、野菜も少なく全体的にとても薄く、高さのないハンバーガーでした。しかし、上品な肉のうまみとコクが美しい奥行きを与える質の高いものでした。

 

店内もカウンター席がメインの薄暗いバーのようなお店でしたけど、歴史のあるレストランのような印象を受けました。とても幻想的で、酔っ払っていなければ緊張してしまうような雰囲気のお店だったようにも感じます。

 

僕にとってのハンバーガーに対する可能性が広がりワクワクした気持ち、そして「世界一美味しいハンバーガー」に対する純粋な感動を抱きながらマイナス20℃の雪空の下を歩いたことを覚えたいます。

 

しかし、それ以降僕たちはそのお店を再び訪れることはありませんでした。

 

理由は、単純でみんなで探し回っても見つけることが出来なかったのです。

 

僕もトロントに住んで一年が経とうとしていた時期なので街のことはある程度分かっていたし、友人の中にはトロントで生まれ育ったカナディアンもいました。

 

僕は酔っ払っていたかもしれませんが、友人たちの中には酔っ払っていなかった人もいたはずです。

 

それでも、何時間歩き回ろうともそれらしきお店が見つからず、なんならレストランやバーすら見つかりませんでした。

 

あれは幻だったのかもしれない…と本気で思いながらもiPhone4sに残るハンバーガーの写真と確かな感動。

 

ハンバーガーマニアのカナディアンたちに見せても結局、 分からず終い でした。

 

少したどり着けた気がする幻の味

 

勿論、あらゆる物への評価というのは単純な比較では図れないと考えます。

 

特に時間の経った記憶なんて、思い出補正が入りまくりです。

 

食に限らず、音楽だって小説だってなんだってそう。その頃の自分の心理状況や感性に大きく左右されるものだと思います。

 

僕にとっての「世界一美味しいハンバーガー」もそういう要素は多かれ少なかれあるでしょう。

 

今年の初夏のことですが、ハンバーガーの試作品を作っている中で少し近づけました。

 

理想通りのクリームチーズのコクと、馬場フラットから取り寄せた甘味のあるバンズ、質の高い国産牛の粗挽き。とても良い組み合わせで、少しだけ感動をして、とても興奮しました。

 

市場の求めているものと僕の中で生き続ける感動がイコールなわけではないので、それに近づけられればOKということでもないですが、自分の求めていたものを世に出してみたい…という思いはあります。

 

ハンバーガー屋をOPENしても、死ぬまでにも、あれと同じものを作れるかはわかりません。

 

いや、同じものだったり、それを超えるものを作りたいという感情ではないのかもしれない。

 

ただ、あの時出会った「世界一美味しいハンバーガー」が、凄い良かったなあと。

 

優しくて、上品で、美しく広がる奥行き…僕がお店を通して表現したいメッセージを表した味にも感じるので、看板メニューになってくれたら嬉しいですけど、そこはシンプルに需要次第で、人気にはならなくていいと思います。

 

もしかしたら、メニューの片隅で滅多に注文されないハンバーガーになってしまうかもしれない.

 

けど、僕だけは寒くなってきたら、あの時食べた感動を思い出してワクワクしたいと思っています。